北の大地とそれから私

流罪になりました。

だから僕は抗不安薬をキメた

名前順で座ると教室の右端、前から2番目の席だった。前には大抵「あ」から始まる名前の人が1人居た。小学1年生の時も1人、席が近いので何はないとも話して仲良くなった。以降、中学を出るまでクラスが離れて疎遠になったり、塾からの帰り道にグダグダと話しながら帰ったりとなんだかんだで仲良くやっていた。そんな彼の訃報を聞いたのは帰省してすぐだった。

 

大学でも体育会でスポーツを続けれているような、僕とは正反対に屈強な人だったからこんな話を聞くとは思えなかった。ただただ驚いた。その時はそれだけだった。どっちが先に死ぬかなんて事は考えたこともなかったけれど、当たり前のように僕が生きている間は会おうたすれば会えるものだと思っていた。まだ同年代の人間が消えていく経験が浅いからそう思ってただけかもしれない、別に今はどっちでもいいか。

 

彼の家に面会に伺うまでは大して実感も沸かなかった。中学卒業以降、駅や道ですれ違うことはあれどきちんと会って話した覚えはないし、昔は仲が良かったけど今は何をしているのかも分からない疎遠になった友達と大差はないのかもな、なんて不謹慎に思っていた。

 

やつれて横たわった彼に面会した時は、確かにこの人は死んだんだな、と思った。血縁の人間で何度か見た死化粧はやっぱり好かなかった。血の気が引いて土気色になった肌が昔前の席に座っていた人間のものとは思えなかった。彼の親いわく持病だったらしい。偶に相槌を打ちつつも彼の母親から話を聞くばかりだった。息子と仲良くしてくれてありがとうだなんてステレオタイプながらも本心だろう感謝の言葉すら貰った。僕が人としての経験が浅い若造ばかりに彼の両親に気の利いた言葉をかけられなかったことも、そして同じくらい彼も若かったことも非常に残念だった。

 

帰ってから煙草を吸いつつ一日ぼーっと過ごした。凪いだ海で釣りがしたかった。口の中はずっと酸味と苦味が混ざった胃酸の味がした。勝手に出てくるメシは大して美味く感じなかった。嫌気がさしてデパスを飲んだ。そこからは、起きてはいたけどあまり記憶にない。薬が切れてきてから思ったことをまとめておいてもいいかもしれないと、この記事を書き始めた。また胃酸の味がする。持病はキツイよな。もう一錠デパスを飲んで、早いところ寝てしまおう。

 

追記

シンエヴァ見てきたよ。信じられないかもしれないけど、マリがメインヒロインだったんだぜ?なぁ、僕の言う通りだっただろ?